職人の経験と技

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From:横関弦

「ウッドデッキの柱が腐ってしまった」とご相談を受けたのは、築15年ほどになるOB様からでした。

相談を受けた時は「柱が腐るってどういうこと?」と思っていましたが、現場を確認してみると…

相談を受けてOB様のお宅にお邪魔してみると、なるほど。
腐ってしまってもおかしくはない造りになっていました。

要はウッドデッキに屋根をかけるために建ててある柱の根元が腐ってしまっており、その腐りは土台やデッキ材にまで広がっていました。

しかも、デッキ材も所々朽ちていて歩くのにも危ないような状態。

なぜこのような状態になってしまったかというと、色々と条件が重なってしまったようですが、一番の理由は雨がかかるとその雨水が溜まってしまうような造りだったということです。

屋根があるって言っても2階部分にかかっているだけですから、吹き込んでくるような雨だと濡れてしまいます。

ちょっと分かりづらいと思いますので簡単に図にしてみました。

上図のように建物の屋根の下にウッドデッキの屋根をかけてあります。
ベランダは物干しには最適ですが、1階のデッキには雨が吹き込みます。
その雨が溜まってしまう造りになっていたということです。
矢印の部分が特に腐ってしまっていました。

経験から最善な方法を選択

さて、どうして直そうか?
一番簡単な方法は柱を丸ごと交換することですが、その柱は上まで6m近くもある一本の柱ですし横の梁と繋がっているために交換はできそうもありません。

下の方で柱を切って新しい柱に入れ替えるって手しかなさそうだけど、柱同士をどうやって繫ごうか?
金物とボルトでつなぐ方法が簡単そうだけど見た目が格好悪いし強度もないし…

色々と悩みましたが私たちが考えた方法は?

次の20年を考える

見た目も交換したとは分かりにくく、しかも強度を確保できる方法はこれしかありませんでした。

柱同士に継手を作って組む。
しかも、継手の中で最も強いであろう「金輪継ぎ」を使って。

独立基礎と土台や柱が接しないように基礎パッキンも使いながら、土台や根太・デッキ材には腐りにくいレッドシダー。

雨水が溜まらないように材同士がくっつかないようにわざと隙間を空けて。

雨も多い場所で普段のメンテナンス次第ですから断言はできませんが、ここまですればこれから20年先も腐ることはないでしょう。

経験と技がなせる仕事

新築もそうですが、特にリフォームでは職人の経験と技が要求されます。
今回の事例でも「金輪継ぎ」が分からない大工さんもきっといるはず。

分からないものを加工することなんて出来ませんよね。
頼むところが違っていたら、交換した柱を金物で繋ぐだけというようなお粗末な工事になっていたかもしれません。

私たちも、お客様からの色々な要求にもっと答えられるように経験を積んで技を磨いていきたいです。

こちらの動画は柱を交換した実際の映像です。
継手の仕上がりを特にご覧ください。

P.S.
40代と70代の大工さんが仕事しています。
私も40代。
若さは無いけど経験と技はとっても豊富ですよ。

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