From:横関弦
ある現場の解体工事が始まりました。
既存の建物を解体して新築工事を行います。
施主様のご実家の横に建っている古い母屋の解体です。
昭和49年築って聞きましたから築46年ほどになるのでしょうか。
屋根は瓦、外壁はトタンと漆喰で当然ですが無断熱。
今回の施主様は建て替えを選択されましたが、いざ新築かリフォームかでは皆さん悩まれることでしょう。
そこで、新築・リフォームそれぞれのメリット・デメリットを考えることでその悩みの解決の手助けになればと考えます。
新築かリフォームかの相談はよく受けます。
私はお客さんの話を聞いてアドバイスさせてもらうようにしています。
お客さんによっては絶対新築かと思っているようですけど、よくよく話を聞いたらリフォームで十分ではないかというパターンもあります。
逆もまた然り。
お客さんも「そうだったんですね」と納得してくれます。
新築かリフォームかで悩んでいるようでしたら私がお客さんに伝えるそれぞれの工事のメリット・デメリットを参考にしてみてください。
新築工事のメリット
現在の基準の造りで不安がない
まずは新築工事のメリットを。
新築工事では当然のように確認申請をすることになります。
(確認申請が必要ない地域も一部ありますが)
確認申請をとるには現在の耐震基準を満たす必要があります。
耐震基準についてはまたの機会に説明することとしますが、長期優良住宅などはさらに厳しい耐震基準になります。
他にも断熱性能が挙げられます。
今回解体している建物には断熱材が全く入っていませんでした。
当時はそれが一般的だったでしょうけど、今の時代に無断熱は考えられませんね。
住宅瑕疵担保履行法によって瑕疵保証を受けるためには新築住宅では地盤調査も義務付けられています。
地盤調査によっては地盤改良が必要になってきますから、建てる場所の地盤に関しても安心です。
新築ではこのような今の時代に合った最新の住宅を建てることができます。
自分の思い描いた家が建てられる
新築でも建売りやハウスメーカーなどの型が決まっている建物は別にして、注文住宅では自分の思い描いた家を建てることができます。
外観もサイディング・板張り・塗り壁となんでもできますし、間取りも自由に設計できることがほとんど。
内装もフローリング・無垢の床板・クロス・塗り壁などなど自分のお気に入りの素材を選ぶこともできますし、内観をカフェ風にしたり北欧風に仕上げたりもできます。
「家を自分らしく自由にカスタマイズ」ってことが魅力でしょうか。
新築工事のデメリット
住み心地がイメージしにくい
新築工事にもデメリットはあります。
それは住み心地がイメージしにくいっていうこと。
現在住んでいるアパートやマンション、中古住宅など住み慣れた家とは違い、広くて綺麗な新築住宅のイメージがしにくいことがあるようです。
いくら「耐震等級3です」「断熱性に優れています」と言われても、図面上やパソコンなどで仕上がりイメージを見せられても実際には住み心地は分かりにくいですよね。
建物に関しても私たちはプロですから立体でイメージすることができますが、お客さんには難しいことのようです。
予算が掛かってしまう
新築のデメリットとしたらこのことが一番ではないでしょうか。
前述のように現在の住宅は構造的・断熱的に優れてきているため、住宅価格も当然上がってしまうことがあります。
ましてや土地も合わせて購入するとなると何千万円という価格になってしまうことでしょう。
これからローンを何十年も組んで返済していくことになります。
この予算についてはよ〜く考えてみてください。
リフォーム工事のメリット
味のある住宅に住める
ここからはリフォーム工事についてです。
中古物件を買ってからリフォームするにしろ、現在住んでいる住宅をリフォームするにしろ、新築にはない味のある住宅に住むことができます。
子供の背比べの線が残っている大黒柱を残したり、傷だらけの床板をあえてそのまま使ったりすることもできます。
新築時の真新しさが逆に緊張してしまって苦手だっていうお客さんも。
また、住み慣れた住宅を現在の耐震基準・断熱基準まで高めるリフォームも可能です。
ちなみに、こういったリフォームでは補助金も受けられますよ。
新築よりも価格が安い
新築と新築同等までのリフォームの両方の見積もりで比較したいというお客さんもいます。
両方計算してみると、だいたいリフォームの方が安くなります。
駆体(土台や柱や梁)などはそのまま使うことが一般的ですからその分が安くなったり、基礎工事分が安くなったりするからです。
(場合によっては土台・柱の交換や基礎の補強工事が必要)
新築同等までのリフォームでなくても、水廻りだけをリフォームするとか断熱材だけ入れるとかの部分的な工事ではもっと予算は掛かりません。
リフォーム工事のデメリット
間取りの自由度が低い
リフォーム工事では既存の住宅に沿っての間取り計画になります。
その分、間取りの自由度が低く思った間取りにならないケースもしばしば。
部屋の間の壁を抜いて1部屋にするっていってもそう簡単ではありません。
壁の中の柱も抜くことになりますから何らかの補強工事が必要です。
しかも経験の浅い職人さんや現場監督では対応できない可能性も。
大規模なリフォームでは工事側のセンスも問われてきます。
住宅の性能に不安が残る
新築同様のリフォームをしても一抹の不安は残ります。
それは地盤について。
基礎にクラック(割れ)があっても補強工事を行うことはできます。
ですが、基礎の下の地盤については保証できません。
家の周りを地盤調査をしてみて判断することはできますが、仮にその地盤が弱かったりしたら安心できませんよね。
既存住宅でも地盤改良する技術はありますが、金銭面を考えると得策ではありません。
いかがでしたでしょうか。
新築工事・リフォーム工事のメリット・デメリットをお伝えしました。
ここで新築がいい、リフォームがいいと断言するつもりはありません。
新築かリフォームかで悩んでいる方の役に立てればと思い今回の記事を書かせてもらっただけですから。
どちらにしても後悔のないようによく考えてみてください。
P.S.
よく考えてもご自身で判断できないようでしたらご相談くださいね。
参考になるような色々な例をお話ししてあなたのお手伝いをすることができるはずです。